彷徨える舌/鎧

小劇団のクールビューティが言った。

「台本があっても結局は人よ。鎧のように身を覆って構えても、本当の良さはそこには無いの」
わたしはそれを取るのに随分かかったわ、という。

なるほど。きっとエンジニアも同じだろう。立場が上になって指示されてやることではなく、自ら決めることが増えてくると、どうしてもパーソナリティが出るものだ。また出していかなくてはならないのだ。

いま彼女は役作りのため鎧のように脂質をためこんでいる。もちろん役が終われば脱ぎすてるはずである。